今も未来も整える「リソース感覚」

今も未来も整える「リソース感覚」

 筆者が、「お金や時間、健康、人間関係といったリソース」(4大リソース)を大事にするのは、「行動するための燃料」だと考えているからである。リソースはゲームで言うところの「モンハン」なんかのスタミナゲージに近いと思っている。使えば減るが、使わなければ行動できない。使いすぎれば回復に時間がかかるし、使わなさすぎればチャンスも逃すし、ピンチも招く。だから、自分の人生においてリソースは、常にその残量と使いどころを考えながら運用しているつもりである。

 リソースを管理する上で大事なのは「感覚ではなく、事実」で管理するという点だ。「なんとなく余裕がある」、「今は大丈夫そう」といった思い込みで動くと危ない。あると思ったものが実はなかったりすると、たとえば借金をしたりなど、不利な条件で補填しないといけなくなる。そしてそれを繰り返すと、リソースが足りない状況が続いて、結果としてまともな判断ができなくなる。これは全力疾走した後に簡単な計算問題もできなくなるあの感覚に近い状態に近い。なので、家計管理をするように、自由に使えるお金や時間、健康状態、人とのつながりを棚卸からの見える化して、冷静に数値や現実ベースで考える必要があると信じている。

 そんな「リソース管理の鬼」である筆者が目指すのは拡大ではなく、好循環である。具体的には、以下の通り。

  1. まずは「余裕のある生活」を作るために、お金、時間、健康、人間関係を手に入れる。
  2. 作った「余裕のあるの生活」が末永く続くようにリソース管理をする。
  3. 「余裕のあるの生活」が安定してきたら、意識的に、お金、時間、健康、人間関係を拡大させてみる。
  4. そこから生まれた余裕を食いつぶして楽しむか、次の余裕のための基盤づくりに回すかを、その時々の気分で選ぶ。

 つまり、必ずしも拡大を目指さず、余ったリソースで遊ぶもいいし、さらなるリソース拡大に使うもいい、ということである。例えば、100万円を年利4%で運用して4万円したら4万円は使ってもいい。今を楽しむために使ってもいいし、来年の金利を得るために使ってもいい。どちらにせよ、元本は毀損しないので生活が悪循環に向かうことはない。

 ただし、作った余裕を何に使うかの判断は、常に5年後、10年後という時間軸で考えるようにしている。決して「今だけ良ければいい」は選ばないが、ここで難しいのは、「今を犠牲にして未来のために我慢するわけでもない」ということ。今をしっかり生きながら、未来も整えることを目指すのである。この匙加減は難しいが、そのバランス感覚は意識的に試行錯誤することでようやく身についてくるんだと思う。

 筆者が会社での労働を通して気づいたのは、「嫌なことをしないためには、リソースを丁寧に扱うしかない」という事実だ。労働にどっぷり浸かって初めて、「こんな生き方は嫌だ」と思えた。だからこそ、節約も投資も人間関係の工夫も、「自由でいるための準備」として自然に選べるようになった。

 リソースは消耗品だ。でも、それをどう扱うかは技術であり、生き方そのものでもある。