はじめに
2020年から始めた株式投資が、気づけば5年目に入った。本ブログの過去記事を読み返すと、初心者時代の自分と今の自分の考え方の違いに驚かされる。投資スタイルも、投資目的も、大きく変わった。
当初は「養育費のため」という目的も持って投資を始めたが、収入と支出、時間と体力など、投資と人生設計のために手持ちのリソースを冷静に見つめ直す中で、「子を育てる生活」と「自分が望む生き方」はどうやら両立しにくいという結論に至った。
こうしたリソース管理と人生設計の考え方は、貨幣経済の中で生きる多くの人にとっても参考になると思う。今回は、過去記事を交えながら、筆者の投資と価値観の変遷を年表とともにまとめてみたい。
年表でたどる5年間の投資遍歴
ほとんど『eMAXIS Slim米国株式(S&P500)』に連動している筆者の総資産の推移。
株式投資の年表:2020〜2025
2020年
- NISA口座を開設し、養育費とFIREを目指して株式投資を開始
- 日本の個別株を「株主優待目当て」で「適当に」購入
- コロナショック後の上昇で全銘柄が値上がり(ビギナーズラック)
- 当時は「なんとなく買っても勝てる」と思っていた
2021年
- DMM証券から楽天証券に移管(米国株インデックス目的)
- 日本個別株からは完全に撤退
- 米国株インデックスファンド(S&P500など)に切り替え
- 確定拠出年金の見直し・リバランスも実施
- 投資信託の「複利効果」に誤解があったと気づく
- 米国の金融引き締めに不安を抱えつつホールド
2022〜2023年
- 米国株インデックス投資を継続
- インデックス投資なのに「米国株の上振れと下振れ」に合わせてタイミング投資もやろうと、毎日のように情報を漁る
- 2023年には、企業業績などの短期の情報を得れば得るほど欲と不安が出て、長期保有が難しくなることに気づいた
- 2024年に向けては、「とにかく長期保有をする」という目標に絞り、「全世界株インデックス」に乗り換えることを決意
2024年
- 新NISAスタートに合わせて全世界株式インデックスへ乗り換え
- 特定口座で積み立てていた米国株インデックスファンドをNISA口座に移すために売却を始める
- 特定口座の米国株インデックスファンドを売却するにあたっては、相変わらずタイミング投資の要領で情報を集めた
- 一方で、全世界株インデックスの方は積み立てた後の値動きは、「気にしてもしょうがない」ので全然気にならなくなっていた
2025年(現在)
- 投資5年目に突入
- 長期保有前提で、精神的にも「放置できるスタンス」に成熟
- 投資していることも意識しなくなってきた
特に大きかった3つの転換点
個別株(日本)からインデックスファンド(米国・世界)へ
投資を始めたばかりの頃は、株主優待がある日本の大手企業を、ろくに調べもせずに購入していた。「大手だから安心」、「優待があるから株価が下がっても損じゃない」と思い込み、当時の資産の大半を注ぎ込んでいた。
たまたまコロナ後の相場回復で含み益が出たが、後から振り返れば危うい買い方だったと思う。
その後の情報収集でインデックスファンドの存在を知り、そのインデックスファンドが優良ならば、「調査・監視が不要」、「分散でリスクを抑えられる」、「長期的に成長企業にも乗れる」といった利点を知る。
また、米国株インデックスの成績が日本株より圧倒的に優れていたことも後押しとなり、すぐに乗り換えを決意した。
タイミング投資から「放置できる積立投資」へ
米国株インデックスファンドへの投資を始めたが、当初は、特定口座ではスポット購入できるのをいいことに、タイミング投資をしていた。なので、YouTubeの経済解説を見ては、相場の上下を予想しようとしていた。
結果的に大きな損はしなかったが、同じインデックスファンドを淡々と積み立てていた妻とのリターンはほぼ変わらなかった。情報を追いかけた分の手間は、リターンに反映されなかった。
次第に、「経済予測はだいたい印象論」、「解説は後付け」という構造にも気づき、情報に振り回されることをやめた。現在は完全に積立型の放置運用に切り替えている。
「経済」の構造理解と、家計の緊縮志向
以前は「働いて稼ぎ、欲しいものを買う」のが経済だと思っていた。だがそれは、お金の大きな流れのうちの、労働者視点の一部にすぎない。
経済の仕組みを学ぶうちに、「誰かの支出は誰かの所得」という前提がある以上、自分が働いて収入を得ること自体、他者の支出=需要に依存していると気づいた。
つまり、筆者が「必要ない」と判断されれば収入はゼロになる。そんな不安定な仕組みに身を置いているのに、ローンや贅沢など、余計なリスクを取るのは愚かに思えた。将来の収入は約束されないのに、将来の支払いだけ約束するのは正気とは思えないのである。
こうして、借金はせず、生活水準もむやみに上げない。誰かの気まぐれに左右されずに生きるため、DINKSという緊縮型のライフスタイルに落ち着いた。
これから投資を始める人へ
投資は「やれば儲かるもの」ではなく、「どう向き合うかで結果が決まるもの」だと筆者は考えている。筆者自身、5年かけてようやく「何を買うか」よりも、「どう持つか」、「なぜやるのか」が重要だと理解した。
優良なインデックスファンドに投資する以上、情報は追いかけすぎると疲れるし、あんまり意味もない。毎月一定額を積み立てて、必要なとき以外は見ないくらいがちょうどいい。インデックス投資は、思っている以上に地道に育つもので、途中で焦って売り買いしないことのほうが、案外難しい。
始める際は「一発当てる」という気持ちよりも、「今の生活を少しでも持続可能にする」という視点を持ったほうが、無理なく続けられると思う。
終わりに(まとめと次回予告)
振り返ってみると、株式投資は単なる金儲けの手段ではなく、生き方そのものを見直すきっかけだったように思う。資産の動きを通じて、自分の働き方やリスクの取り方、社会との付き合い方まで変わっていった。
今後も、こうした運用の記録や、ライフスタイルの設計について定期的に発信していくつもりである。
この記事が、これから投資を始める人や、今のスタンスに迷っている人の参考になれば幸いである。
ご意見や「自分はこうだった」といった感想があれば、ぜひコメントしてほしい。