思考に即応力を持たせる──「記憶の裏打ち」としてのブログ執筆

 最近、『攻殻機動隊 2nd GIG』を見直して、これに登場する『合田一人』というキャラクターのセリフが気になった。筆者はあまり賢くないので、こういう「頭脳としゃべり」で生き抜いているキャラには心底あこがれる。

「これは活字の情報を得ることで、とっさのときに最も有効なアイデアが口をついて出るように記憶の裏打ちをしているのだよ。」

 『合田』のこのセリフを聞いて、「自分も同じことをやっているのかもしれない」と思った。

 

 筆者はブログに書いたことのあるテーマについては、誰かに問われたとき、すぐに筋道を立てて説明することができる。それは、文章を書く過程で思考を整理し、反論を想定しながら構造化してきたからだ。いわば「相手に伝わる言葉が整備された状態」にある。

 

 この状態には、大きく分けて3つの効果がある。

 

 ひとつは、即応性の向上。とっさに何かを問われても、自分の中ですでに論理的に言語化されているため、瞬時に言葉が出てくる。これは『合田』の言う「記憶の裏打ち」と同じだと思う。

 

 ふたつ目は、議題についての理解が深化すること。書くためには頭の中だけで考えているときよりも一段深く考える必要があるため、ただ「なんとなく思いついただけ」では済まされない。思いついたことを、鉄を打つように叩き直しながら精錬していく。そうすることで理解の解像度が高まっていく。

 

 そして三つ目は、記憶のバックアップとしての機能。人は毎日多くを忘れる。だから、ただ頭の中にあるだけの情報は、やがて消えていく。だが記事として残っていれば、見直すことで思い出せるし、いつでも相手に伝えることができる。

 

 こう考えると、このブログは他人に向けて書いているようでいて、実は自分自身の理解と行動の基盤を鍛える場なのかもしれない。自分の考えを裏打ちし、必要なときに迷わず言葉を出せるようにしておく。そのための場所が、このブログなのだと思えた。