裏切り者の土俵には乗らない──自分の基準を守るということ

 人間関係において、ギブアンドテイクのバランスが長期的に保たれていることは、信頼の土台になる。しかし現実には、そのバランスが崩れていくことはよくある。例えば、「結婚式には参加したのに、自分の式には来ない」、「引っ越しを手伝ったのに、自分の引っ越しには来ない」など。こういう「小さな偏り」の積み重ねが、不信感になる。(もっとも、「おかえし」を約束したわけじゃないので「裏切り」と断じるのはいささか過激かもしれないが)

 

 これは「囚人のジレンマ」に似た構造を持っていて、最も健全な対応は「しっぺ返し戦略」だとされている。つまり、最初は信頼して協力し、裏切られたら裏切り返す、というものである。この「裏切り返す」にはいろんな方法があると思うが、筆者は報復するのではなく、「もうその人とは取引しない」というのがいいと思っている。それが合理的で、自分の尊厳も守れる態度だと思うからだ。

 

 気をつけたいのは「しっぺ返し戦略」はやり方次第で「自分も裏切る側と同じになる」ことだ。他人がズルをして得しているからといって、自分もズルを始めれば、結局同じ穴のムジナになる。目先の得を追いかけて信用を失えば、長期的には人からも社会からも排除される。それは「かっこ悪い」だけでなく、損でもある。

 

 さらに言うと、「周りが不義理だから自分もそうする」という選択は、「自分の基準」を手放すことに等しい。これは「主体性のない人」がよく言う「みんなもやってるから」と同じ論理である。筆者は、「自分がどうありたいか」を自分で定め、その価値を守るためにどう動くかを選びたい。そしてそれを元に築かれた信頼や人間関係は、派手さはなくても、静かに自分を支えてくれる柱になると思っている。

 

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 しかし、「信用」について考えれば考えるほど、「業者」のやり方は理にかなっている。。