2022年度版『柔術』感想メモ

 

2022年に総合格闘技もやってる柔術のジムにて柔術デビューする

 それまで7年間は、キック、ムエタイ、ボクシングと打撃系の格闘技をやってきた。

 なんとなく打撃の格闘技に飽きていたところ、同じジムにいた総合格闘技経験者に寝技を教えてもらい、柔術に興味を持った。

 しかし、柔術のジムに入って全く打撃をやらなくなるのは嫌だなぁ、と思っていたところ、総合格闘技もやっている柔術のジムを見つけたので、そのジムに入会し、柔術デビューした。

 本記事は、そんな柔術デビューしたての打撃系格闘技経験者の感想である。

柔術デビュー3ヶ月時点の感想

 柔術も他の格闘技と同じく、「格闘技は先生から丁寧に教えてもらえるものではない、自分で上達を意識して学んでいくものだ」ということを改めて認識した。

 打撃については、やってる期間がそれなりに長いので、「上達のためには何をしなくちゃいけないのかわかって当たり前」という状況だが、柔術はそれがわからなかったので、だいぶ混乱していた。

 その結果、「教え方が悪い」と錯覚してしまった。

 そもそも格闘技を上達するために丁寧に教えてくれるジムなんてあるわけがない。せいぜい「ジャブの打ち方はこう!」みたいな断片的な情報を教えてくれるだけで、「どうやってジャブを打てば効くのか、どうやって打てば反撃をもらわずに安全なのか」ということは教えてくれない。それが普通である。

 結局は教えてもらった技を、どこでどうやって使って相手に勝つかということを自分で考えなきゃ、いつまでもスパーリングでまともな練習もできないのである。

 混乱したせいで、大事なことを忘れてしまっていた。。

1時間のクラスで毎回新しい技を5個以上教えてもらうが覚えられないし使い所もわからない

 1時間のクラス時間の中で、柔術のガード、攻め、エスケープについてたくさんの技を学ぶ。

 しかも、クラス練習の参加者の帯色が毎回バラバラで、必ずしも「初心者に合わせる」ということはしない。

 なので、初心者は一気にたくさんの技を学ばなければならないので、結構しんどい。

 しかも、前回習った技は次のクラスでは出てこないので、技が記憶と体に定着しない。

断片的に技を習うのでスパーリングで何をしていいかまるでわからない

 当然白帯初心者はたとえ同じ初心者であっても技はかけられないので、とりあえず「やられないように」だけ立ち回る。これはそんなに面白くない。

 柔術はたくさんの技を組み合わせて、「極め」まで持っていく。なので、断片的に習った技だけでは極めまで持っていくことは当然できない。

 クラスで断片的に「点」で技を習うが、実戦で必要なのはそれらの技を「線」で繋げて極めまで持っていくこと。この「点」を「線」に繋げる作業は教えてもらえないので自分でやる必要がある。

 初心者がこういう工夫をするのは時間がかかる。というか効率が悪い。効率の悪い指導の中で上達しなければならないから、柔術の帯の昇格条件にやたら長い期間が設定されているのかもしれない。

www.jbjjf.com

そういえば長年やってたキックやムエタイも丁寧に教えてくれるジムはほとんどなかったなぁと懐かしんだ

 長年やってたキックやムエタイのジムでも、パンチやキックのフォームは教えてくれても、それらの技を相手に当てるためにどうするかということは教えてくれないので、上級者とのスパーリングでサンドバッグになりながら、やられて体で覚えていた。

 上達の効率は悪いし、当然やられているだけなので面白くないが、格闘技はそういうもんといえばそういうもんな気がした。(そう考えると長年やってる上級者は変態なのかもしれない)もちろんこのやり方に納得してるわけではないけれど。

初心者は柔術スパーリングでやることがない

 柔術で相手を極めるところまで持っていくためには、手順を踏む必要がある。

 自分の体が自由に動かせて、相手は体を自由に動かせない体勢を作った上で、サブミッションでフィニッシュする。

 いくつかガードの形を習っただけの「本当の初心者」にそんなことができるはずもない。とりあえずガードの形を組めたら組めばいいが、それすらできずにいつの間にか有利なポジションを取られて極められるのが毎回の流れだ。

 有利な体勢になられないように動く、極められないように逃げるなどはできるかも知れないが、逃げているだけで極めにこない相手など簡単に潰せる。走って逃げるくらいしないと逃げられない。

 打撃系のスパーであればとりあえず技を振り回すくらいのやることはあるが、寝技系のスパーは攻める手順を体得していなければ本当にやることがなくてつまらない。

たくさんの楽しいコンテンツがある世の中で「初心者のうちはつまらないもの」でもビジネスとして成立しているのはすごい

 柔術は初心者のうちは、いつ使うのかよくわからない技術を断片的に学び、スパーリングではやることがなくて逃げ回るだけのつまらないコンテンツである。

 昨今のコンテンツは、例えば音楽であればサビから始めて音楽の一番楽しい部分を聴かせる、動画コンテンツなんかは動画を見なくてもサムネイルから面白さがわかるようしている。長い時間を使ってようやく楽しめるコンテンツは、こういったコンテンツが溢れる世の中では人の関心を集めにくいだろう。

 さらに「序盤は面白くはない」程度であればまだ許せるが、「序盤は苦痛すら感じる」ではコンテンツとしては時代に逆行しているように思う。こんな時代に柔術のように「数年やってようやく楽しいかもしれない」ようなコンテンツに手を出して、数年やってしまえるようならもう変態なんだろう。まぁ自分は長年キックをくぐってきた変態なのでやりそうだけど。あと道着もったいないし。

柔術デビュー6ヶ月時点の感想

 上達の仕方についてなんとなくイメージがついてきた頃の感想。

 結局は、柔術も打撃系格闘技と同じく、「やりたいこと」を具体的にイメージしながら技を覚えて、使っていくことが上達への道なんだと思った。

 習った技を片っ端から覚えて、目的もなしに適当にその場のノリで使っているだけでは、なかなか一本は取れない。勝つことはできない。 

できることが増えるとどんどん面白くなる

 6ヶ月やっていると、いろんな技を教えてもらう。あと、スパーリングでいろんな技をかけてもらう。

 そうやっているうちにできる技が増えていく。

 こうなると、スパーリングをやっている中で「何をしていいかわからない時間」がなくなる。常に「どうやって極めまで持っていくか」、「如何に極められないように動くか」ということを考えながら動くようになる。

 もちろん初心者なので、想定できる受け攻めのパターンは少ないので、なかなか一本には繋がらないが、それでもこういう「戦う思考」ができていると、「やってる感」が得られるので面白い。

同じような力量の人がいるとより面白くなる

 これは柔術に限らず、対戦系のゲーム全般に言えることだが、同じような力量の人と対戦すると面白い。やるかやられるか、ギリギリの戦いができるからだ。

 上級者とやっても一方的になす術なくやられるし、入会したての初心者とやっても雑にやっても技がかかってしまってつまらない。もちろん、どちらの人とやってもそれなりに学びはあるのだが、面白くはない。

 なのでこれから格闘技を始める人は、なるべく会員が多いジムを選ぶとこの面白さを感じることができる可能性が上がるだろう。

「仮説を立てる」=>「やってみる」の繰り返しでスキルとモチベを上げる

 これも柔術に限った話ではないが、上達しなければ「やっていて面白い」と感じるのは難しい。

 では上達のためにはどうすればいいか。

 それは、「仮説を立てる」=>「やってみる」を繰り返すことだと思う。

 例えば、「三角締めを極めたい」と思ったとして、闇雲に三角絞めを狙っても相手がよっぽどの初心者でない限りはすんなりかからない。

 ここで「どういう時に三角締めが極まりやすいのか」、「相手にどんな体勢になって貰えば技がかかるのか」など「三角締めを極めるためには何が必要なのか」という問いが生まれる。(はず

 それに対して、「相手の重心が前に来ている時にかかるのでは?」、「相手の腕を1本動かない状態になっていれば足が首にかかりやすいのでは?」など仮説を立て、スパーリングでそれを実行する。

 これをやるとスキルも上がっていくし、練習やスパーをする目的ができるのでモチベも上がりやすい。

 ただ闇雲にやっても疲れるだけなのである。

 上達しなさすぎて、今にもやめそうな方には是非とも試していただきたい練習方法である。