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「正しさ」だけじゃ「強い悪いヤツ」には敵わない

 

これは以下の記事の感想文

bunshun.jp

「悪いヤツ」は「決まり」を破るから「悪いヤツ」なのである

 日に日に追い詰められていく娘を目の当たりにして、母、佳子さんは「辞めたら」と何度かアドバイスしたという。しかし、綾奈さんは「悪いのはハラスメント加害者なのに、なぜ辞めなければいけないの」と話して働き続けた

出典:

(2ページ目)職場のいじめで愛娘が自殺に追いやられ…21歳の過労死に「専門家」が対応してくれなかった理由とは | 文春オンライン

 「決まり」を破る奴に、「ルール違反してるのはあいつらだから、あいつらが退くべき!」なんて「決まり」に則ったことを言っても仕方ない。

 そもそも、そんな「決まり」を平気で破るから「悪いヤツ」なのである。

 もちろん、上記のように思う「気持ち」はすごくよくわかる。筆者もその昔、上記に似た「正しさ」を信じて「悪い強いヤツ」に立ち向かったことがある。そしてコテンパンにされた。

 しかし、そんな個人の「気持ち」が「悪いヤツ」に大したダメージを与えることもないし、辛い状況にある自分を守ることもないのは事実。

 

金と時間を持っている「強いヤツ」には勝てない

🇺🇦 漫画/アニメ名言bot 🇺🇦 on Twitter: "勝ち目のない敵とは戦うな。オレが口をすっぱくして教えたよね? -  イルミ・ゾルディック (HUNTER×HUNTER) #11494 https://t.co/MtfbiqApuw" / Twitter

 法律や条例等の「決まり」を破ると相応のペナルティがある。しかし、その違反を明らかにするには時間とお金がかかる。

 そして、結局のところ、「相手の行為が違反かどうか」よりも、「違反があったかの証明」をすることにどれだけお金や時間といったリソースを注ぎ込めるかが勝負の決め手になるのである。

 違反の事実を証明するために使う時間と体力、弁護士費用、裁判費用と裁判にかかる時間。これらのコストを捻出するのはそもそも難しい。

 一方で、金も時間も持っている「強いヤツ」は、「時間があるから裁判の長期化なんてへっちゃら!」「証拠の隠蔽もお金でやっちゃう!」なんてこともできる。

 「法律に則った平等な争い」に至る前に、「お金と時間の積み合い」についていけないようでは、戦いにならないのである。

 

金と時間がない「弱いヤツ」はトラブルに巻き込まれた時点でアウト

アウツ - Twitter Search / Twitter

 もし、裁判に勝てれば、かけたコストのうち、「お金」は返ってくるかもしれないが、そこには、例えば「その時間働いていたとしたらいくら稼げた」みたいな「機会損失」の補填は十分にされるとは言い難い。

 また、失った時間と体力は物理的に取り返すことはできない。

 つまり、例え「強い悪いヤツ」に勝てたとしても、無傷では済まないのである。

 こういう戦いをするのは賢いとは言えない。

 

「生き残ること」を重視している野生動物を見習うべし

www.youtube.com

 野生動物は、戦うことのリスクをちゃんとわかっている。

 勝てても手負になるなら戦うことを諦める。余裕で勝てる相手としか戦わない。本来は人間もこれと同じくあるべきである。

 人間は法律などの「文章上の決まり」を作っているので、野生動物とは違い、公平かのように見える。しかし、結局のところ、それを破っても問題ない「強さ」を持っているなら、それを破らない理由はないのである。それは個人はもちろん、組織もそうだし、国すらにも同じことが言える。

 「決まり」を破れる強さがあるなら、それを破ることも選択肢に入るのである。

 だから、「強いヤツ」とは戦わない、というのは人間においても正解なのである。

 もし、「強い悪いヤツ」に屈したくないなら、それよりも強くなるしかない。それこそ余裕で倒せるくらいに強くあらねばならない。

 それができないなら、戦わずにさっさと逃げるべきなのである。

 

一方で「強い悪いヤツ」に抵抗することは社会にとっては役に立つ

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 「強い悪いヤツ」に勝ち目のない抵抗をすることは、抵抗する個人にとっては有益とは言い難いが、社会にとっては役に立つ。

 そういった争いが増えれば、新たな強制力のある制度ができるかもしれないし、同じような状況にある個人が団結して、より力のある抵抗ができるようになるかもしれない。

 しかし、残念ながらその契機になる個人は、不利益を被るだけである。

 もし、自分が「強い悪いヤツ」から許し難いルール違反に基づく攻撃を仕掛けられた場合には、「社会のために抵抗するのか」、「個人のために逃げるのか」、ということを冷静に判断できるようにしておきたい。